助成金とは?
助成金制度は、企業が抱える雇用問題を解決するために国が用意した支援制度の1つです。助成金には、さまざまな種類が存在しますが、社会保険労務士が書類の作成や申請のサポートをするのは、主に厚生労働省関係の助成金になります。
この厚生労働省の助成金は、原則として雇用保険二事業(雇用安定事業・能力開発事業)の一環として行われています。実は、事業主の皆さんが毎年納付している雇用保険料の一部が助成金の財源とされているのです。
雇用に関する助成金
- 特定求職者雇用開発助成金
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- 60歳以上の人や母子家庭の母等の就職困難者をハローワーク経由で雇用した時にもらえます。
- もらえる助成金の額 40~240万円
※雇用した日の前日から6ヵ月前の日から1年を経過する日までの間に、雇用保険被保険者を会社都合により解雇等(退職勧奨含む。)していないこと。
- トライアル雇用助成金
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- 職種未経験者や過去2年間に2回以上離職・転職を繰り返している者などを3ヵ月間試行雇用し、適性や能力等を見極め、その後の常用雇用へつなげていくことが目的の助成金です。求人票にトライアル雇用をする旨明記しないと対象となりません。
- もらえる助成金の額 月4万円を3ヵ月間
※雇用した日の前日から6ヵ月前の日から1年を経過する日までの間に、雇用保険被保険者を会社都合により解雇等(退職勧奨含む。)していないこと。
- キャリアアップ助成金
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- 正規雇用等に転換する制度を規定し、有期契約労働者等を正規雇用等に転換した場合に助成金がもらえます。
有期雇用→正規雇用 57万円(42万7,500円) 有期雇用→無期雇用 28万5,000円(21万3,750円) 無期雇用→正規雇用 28万5,000円(21万3,750円) ※有期雇用=雇用期間の定めがあるパート等
※無期雇用=雇用期間の定めがないパート等
※正規雇用=正社員、短時間正社員、職務限定正社員等
次のいずれかに該当する労働者が対象
- 雇用された期間が通算6ヵ月以上の有期契約労働者。ただし、無期雇用に転換する場合は6ヵ月以上3年未満
- 雇用された期間が6ヵ月以上の無期雇用労働者
- 有期実習型訓練を受講し修了した有期契約労働者等
助成金をもらうための主な要件
- 正規雇用労働者として雇用することを約束して雇用した有期契約労働者等でないこと
- 過去3年以内に正規雇用または無期雇用労働者として雇用されていないこと
- 正規雇用等に転換する制度を就業規則に定め、実際に対象者が出たこと
- 対象者を転換後6ヵ月以上継続雇用していること
- 無期雇用への転換の場合は、転換前の基本給より5%以上昇給させていること
- 転換日の前後6ヵ月間に雇用保険被保険者を会社都合で離職させていないこと
- 転換後社会保険の加入要件を満たす場合は加入させていること
職場定着支援助成金
- 助成金の主な要件
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- 認定された雇用管理制度整備計画に基づき制度を導入し、1人以上の従業員に実施すること
- 雇用管理責任者を選任し、事業所内に周知すること
- 離職率を目標値以上低下させること
雇用保険被保険者数 目標値 1~9人 15%以上低下 10~29人 10%以上低下 30~99人 7%以上低下 100~299人 5%以上低下 300人以上 3%以上低下
- 対象となる雇用管理制度
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- 【1】評価・処遇制度
- 【例】評価・処遇制度の導入、昇進・昇格基準の導入、給与体系制度の導入、諸手当制度の導入(通勤手当、家族手当、役職手当、資格手当等)、退職金制度の導入等※給与体系制度・諸手当制度については、制度導入後の給与総額が低下しないこと。
- 【2】研修体系制度
- 業務遂行の過程外で行われる研修であること(Off-JTであること)1人あたり10時間以上の研修であること。
【例】新入社員研修、3年目研修、管理職研修、特殊技能習得研修等 - 【3】健康づくり制度
- 人間ドック、生活習慣病予防検診、腰痛健康診断、のいずれかを導入、費用の半額以上を会社が負担していること。
もらえる助成金の額 各制度ごとに:10万円 目標達成助成:57万円